金色の研究

2023年4月7日(金)

篠笛作りにおいて装飾の糸巻きを金色に仕上げることがあるのですが、本物の金を使うのはコスト的に難しいので筆塗り塗料やスプレー塗料を使用しています。
なかなか”良い金色”に仕上げるのは難しいもので、今回は市販金色スプレー塗料の比較実験を行いました。

今回比較対象としたのはこの4種類です。(価格は一例です)
左側より1.アサヒペン メッキ調スプレー ゴールド 300ml 1564円
2.アサヒペン メタリックスプレー メタリックゴールド 300ml 1756円
3.染めQ メッキ感覚 ゴールド 312g 1950円
4.アトムハウスペイント メタリックスプレー ゴールド 100ml 773円
(アサヒペン ラッカースプレー ゴールドという商品もありますが、以前使用して良い色ではなかったので除外しています)

実験方法としては真竹材を四分割し各種スプレー塗布、一晩乾燥させた後、半分をマスキングしてクリアーを上塗りしてみました。
(各写真1枚目右半分がクリアー上塗り側)
以下、実験後の各種スプレーに対する所感です。

1.アサヒペン メッキ調スプレー ゴールド 300ml 1564円
色合い的にはやや青みがかった金色、光沢感あり。
クリアーを重ねると溶剤の影響でまだらになってしまうのでクリアー上塗りには不向きか。
爪を立てて塗膜の強度チェックでは4種類の中では相対的に強い。

2.アサヒペン メタリックスプレー メタリックゴールド 300ml 1756円
色合い的には金色というよりベージュにメタリックが入った感じ。悪い色ではないが金色には感じられない。
クリアーを重ねるとベージュが濃くなり光沢感が出る。これはクリアー上塗りも可。
爪を立てて塗膜の強度チェックでは4種類の中では相対的に弱い。

3.染めQ メッキ感覚 ゴールド 312g 1950円
色合い的には良い金色だが光沢感はなくややザラついた梨地仕上げ。狙って使うならありか。
クリアーを重ねるとわずかに色が濃くなりわずかに光沢感が出るがほとんど変化なし。
見た目というより塗膜保護のためにクリアー上塗りするならありか。
爪を立てて塗膜の強度チェックでは4種類の中では中間。

4.アトムハウスペイント メタリックスプレー ゴールド 100ml 773円
色合い的には良い金色、塗膜も暑く光沢感もある。
クリアーを重ねるとまだらになってしまうので不向きか。
爪を立てて塗膜の強度チェック、塗膜が暑いので十分な乾燥時間が必要。完全に乾燥しても4種類の中では中間。

<総括>
まず2.は金色には見えないので除外。(狙って使うなら良い色だと思いますが)
1.はやや青みがかった凛とした金色が好きならあり。塗膜強度も比較的強いので使うならクリアー上塗りなしで。
3.は光沢の少ない梨地仕上げを求めるならこれ。クリアーありでもなしでも可。
4.は一番豪華な金色に仕上がるが塗膜の強度がそれほど強くないのが難点。クリアーを重ねると強度は上がるが美観はかなり低下する。触れない部分なら一番お薦め出来るが、触れる部分にはどうか。もう少し耐久性について実験を重ねたい。

というわけで各種一長一短ありどれがベストとも言えないことが分かりました。
この実験結果を参考に、実際の笛で試してみたらまたいろいろなことが分かると思います。

スプレー以外にも、筆塗りでの金色仕上げもいろいろと試しているので、これからも”金色の研究”は続きそうです。

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篠笛用竹材(女竹)の虫害について

2020年6月19日(金)

冬場に採取した笛用竹材、
採取後は水洗い、天日干し1~2ヶ月、屋内にて陰干し1年、倉庫にて保管数年、
という工程を経て初めて笛を製作できます。

今年は冬場に竹材採取はしたのですが、たまたま忙しかったため水洗いが遅れ
(1本1本手洗いで汚れを取り除くので数百本の竹材洗いは大仕事です)
それにともない天日干しの時期も春先へとずれ込んでしまいました。

そうなると油断大敵なのが虫害。
春になって花が咲き始める頃には虫たちも一斉に活動を始めます。
気を付けてはいたのですがやられてしまいました...

こんな風に小さな穴が開いていたら虫が入ってしまった証拠...

管頭や管尻の木口面から穴を開けて入る場合も頻繁に見られます。

知らずにこういった竹材をまとめて倉庫に保管しようものなら
そこで繁殖して倉庫中の竹材が大損害を被る恐れもあります。

今回は虫の入ってしまった竹を注意深く取り除き、
せっかくなので中がどうなっているのか確認してみました。

穴を開けたところから竹材の内壁を食べ進んだ跡が筋状に確認できます。
そして黒いゴマ粒くらいの幼虫が犯人。
シンクイムシやキクイムシという種類の虫らしいです。

これが成虫。
甲虫で、カミキリムシの仲間っぽく見えないこともありません。

虫が入ってしまった場合、火で炙る、お湯で煮る、殺虫剤スプレーを穴から吹く
などして虫を処理し、笛を作れないこともありませんが
内壁を大きく食い荒らしてしまうとそれも難しいのでやはり予防が必要です。

教訓、
春になる前に屋外での天日干しを終えること!

せっかく採ってきた竹材数十本が被害に遭い、今回は高い勉強代となりました...

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唄用八本調子

2016年2月26日(金)

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お客様よりご注文の唄用八本調子が完成しました。

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ある程度音程の許容範囲が広い囃子用に比べて、唄用はかなり正確な音程でないと様々な楽器と気持ち良く合奏できません。
気温によってもかなり音程が変化しますし、吹き方の個人差でも多少変わってくるので難しい問題ですが、自分の演奏活動の中でこれくらいが一番使いやすいというピッチが分かってきたので、今回全面的に設計を見直し音程には自信を持てる八本調子が完成しました。

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デザインは本体が素竹と拭き漆、籐巻き部分の漆塗りも黒と赤の2種類で作ってみました。

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ご注文分より多少数に余裕がございますのでご興味のある方はぜひお試し下さい。

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藍空(らんくう)工房 
e-mail : mail@rankuu.com

 

篠笛の籐巻き作業

2016年1月8日(金)

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今回は篠笛の籐巻き作業をご紹介します。
仕上がった拭き漆仕上げの唄用八本調子に天地巻きを施します。

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まずは両端から籐が外れるのを防止するためにノコギリで切れ目を入れます。

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ノミと紙ヤスリで段差を作ります。

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その部分に籐を巻いていきます。

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歌口側の籐巻きが終わったところ。

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管尻側も同様の作業を施して完成。
この後必要に応じて管端や縁取りの漆塗り作業へと進みます。

篠笛の籐天地巻きは定番の仕上げ方法ですが、やはりデザイン的に完成されているような気がします。
近年、各種職人の減少により良質な籐の入手が難しくなりつつあるのが心配です。

 

新作ねぶた笛各種 2015

2015年11月9日

ねぶた笛各種が完成しましたのでご紹介させていただきます。

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まずは弘前用、塗り笛の金巻きは人気モデルです。

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続いて青森用、落ち着いた雰囲気の拭き漆・籐巻きのデザインを好まれる方も多くいらっしゃいます。

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こちらも青森用ですがやや音程高めのモデル。
近年だんだんと音程が高めの笛を使用する団体が増えてきたのでそれに合わせたものです。
(弘前も青森も、時代の流れと共にだんだん笛の音程が高くなってきているようです。オーケストラの基準ピッチについても同様の話がありますが、何でも周りより僅かに高いピッチはその楽器を目立たせたり、華やかに感じさせる効果があるとのこと。ねぶたも、団体ごとに競い合っているうちに、どんどんと笛の音程が上がってきてしまったのではないかと憶測していますが、真実はどうなのでしょう。)

音程の目安ですが、一番下の指孔を開けた音(唄用篠笛でのドの音)がBに近いものを標準モデル、BとCのちょうど中間ぐらいのものを音程高めモデルとしています。
(チューナーやスマホのチューナーアプリでご確認いただけます。)

藍空(らんくう)銘のねぶた笛は全て弘前の竹心房様でお取り扱いいただいておりますので、その鳴りの良さと仕上げの美しさをぜひ手にとってお試しいただければ幸いです。
→竹心房様はこちら

 

拭き漆のねぶた笛 2015

2015年8月5日(水)

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拭き漆仕上げのねぶた笛を作ってみました。
自然の風合いと手仕事の美しさが調和しているように感じられる
個人的には一番好きな仕上げです。

上2本が青森タイプ、下2本が弘前タイプ、
弘前の竹心房様で販売させて頂きますので
機会のある方はお試しいただければ幸いです。
→竹心房様はこちら

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弘前ねぷた笛 2015

2015年5月19日

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弘前ねぷた笛が完成しました!

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籐天地巻きモデル

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黒塗り・赤塗りモデル

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赤塗り天地金糸巻きモデル

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黒塗り天地金糸巻きモデル

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黒塗り天地金糸総巻きモデル

弘前の竹心房様で販売させていただきますので
仕上げの美しさと鳴りの良さをぜひ手にとってお試し下さい。
→竹心房様はこちら

 

新作 青森ねぶた笛 2014

2014年10月20日(月)

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おかげさまでご好評をいただいている当工房のねぶた笛ですが
夏に売り切れてしまった金巻きタイプの追加分がやっと完成致しました。

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今回は定番の黒に加え、赤の金巻きも製作してみました。
弘前の竹心房様にて販売していただく予定ですので
ご近隣の方はぜひお手にとって
鳴りの良さ、仕上げの美しさをご確認下さい。

→竹心房様はこちら

 

篠笛 唄用八本調子

2014年7月22日(火)

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今回は新作の商品のご紹介をさせていただきます。
篠笛唄用八本調子、写真上から
A:籐天地巻き黒
B:籐天地巻き黒
C:籐天地巻き赤
D:素竹拭き漆仕上げ
E:素竹
全て内部は天然朱漆仕上げとなっております。

参考のため1曲吹いてみました。
少年時代(Aの笛にて)

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お送りしてお試しいただくこともできますので
お気軽にお問い合わせ下さい。

藍空工房
大部仁
〒311-4616
茨城県常陸大宮市桧山589
0295-55-2087
mail@rankuu.com

 

囃子用五本調子

2014年4月4日(金)

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お客様よりご注文いただいた囃子用五本調子が完成!
ご要望により3オクターブ目の鳴り易さにこだわりました。

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おかげさまで作りの丁寧さにはご好評をいただいております。
あとはお客様に気に入っていただけるよう願っております。

☆ご注文製作承ります
囃子用の場合、各地によって使用される笛に違いがあるため
見本を見せていただければそれに合わせて作らせていただきます。
籐巻き、糸巻き、塗りの色等ご要望に合わせて製作致しますので
お気軽にお問い合わせ下さい。

藍空(らんくう)工房
〒311-4616
茨城県常陸大宮市桧山589
0295-55-2087