2015年4月29日(水)
虚無僧研究会の総会に出席してきました。
会計報告や事業報告が終わった後は
「竹を吹く人々-描かれた尺八奏者の歴史と系譜」の著者
泉武夫氏による「絵で見る尺八吹きの系譜」と題する講演が行われました。
各時代に残された絵画資料から、
どのような人々がどのような尺八を吹いていたのかを検証するというもの。
一例として、江戸時代には虚無僧のみに許されていたとされる尺八も
実際にはそれ以外の人々にも広く吹かれていたことが分かる図画があったり。
文献資料では虚実ないまぜになっている尺八の歴史ですが
絵画資料を通して真実の一端が明らかになるというとても興味深い講演でした。
別室では、普化尺八(虚無僧尺八)の祖、普化禅師の資料展が催されました。
「臨済録」に登場し、ともすれば主役の臨済以上の強烈な存在感を示す風狂の僧、普化ですが
「普化は行化に際し、常に鐸(たく、ハンドベルのような鈴)を打ち鳴らしていた。
その鐸の音を慕った居士張伯が尺八でそれを移し採り、代々の子孫へ伝えた。
張伯から16代後の張参が、ちょうど宋に留学しに来た法燈国師覚心に伝え、
覚心が帰国と共に尺八を日本に伝えた。」
というのが江戸時代の書「虚鐸伝記国字解」に記された日本への尺八伝来説です。
実際には歴史的事実ではなく、後世の創作のようですが
それでもやはり普化はいつの時代も尺八吹きにとって憧憬とロマンの対象なのです。
各地の虚無僧寺に伝えられた普化像
山形臥龍軒伝
博多一朝軒伝
松戸一月寺伝
甲州乙黒明暗寺伝
越後明暗寺伝
越後明暗寺月潟番所伝
そしてここ法身寺に伝わる普化禅師像
(法身寺は虚無僧寺青梅鈴法寺の江戸番所の菩提寺であったため
貴重な遺品が伝わりました。)