尺八用の竹掘りに行ってきました

2014年2月25日(火)

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今シーズンはいろいろと忙しくて竹掘りに行けずじまい。
春が来る前に行かなくてはと思っていたのですが、
たまたま見つけた藪が良さそうだったので掘ってきました。
今日の成果16本。

実際に尺八を作ってみて初めて、良い竹かどうかが
分かる部分もあるのですが(音質、割れやすさなど)
根周りの処理、油抜き、天日干し、陰干しと行程を経て
実際に尺八を作れるのは何年か先になってしまいます。

良い竹藪を見つけても、毎年掘っていると
めぼしい竹を掘り尽くしてしまいます。
なので常に新しい藪を探さなければならないのですが
なかなか尺八になるような竹はありません。

どこかに尺八になる竹ばかり生えた
夢のような竹藪がないものでしょうか(笑)。
いつか夢の竹藪を探して日本全国を旅してみたいものです(笑)。

 

ぼろ塚と定専坊 in 大阪

2014年2月7日(木)

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今回は大阪で訪れた尺八史跡のお話です。
まずは茨木市にある「ぼろ塚」。
「ぼろ(梵論、暮露)」とは「ぼろぼろ」「梵論字(ぼろんじ)」
などとも呼ばれた、鎌倉期に発生した半僧半俗の放浪民です。
この集団がベースとなって室町期の「薦僧(こもそう)」、
江戸期の「虚無僧(こむそう)」へと
変化していったと考えられています。

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そしてこの場所はというと、
吉田兼好が「徒然草」第115段で、
川原にてぼろ同士が仇討ちの決闘を行い
双方とも潔く果てたという伝聞を記した、
その場所だと考えられています。
(もう一ヶ所、神奈川県説もあるようですが)

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そしていつの頃からか
亡くなったぼろを弔うために石碑が建てられました。

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鎌倉期の「ぼろ」は尺八を吹いていなかったようですが
ある意味遠いご先祖のようなもの、
亡くなったぼろへの弔いも込めて「調子」を献奏しました。

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次は大阪市東淀川区にある浄土真宗寺院
「定専坊(じょうせんぼう)」を訪ねました。
虚無僧の始祖との伝説が残る「楠木正勝」。
南北朝の争いに敗れた正勝はいずこへかと姿を消し
各地に伝説を残しましたが
その墓とされるものが全国に5ヶ所あるそうです。
(一音成仏第2号「楠木正勝公墓誌」石綱清圃)
そしてその一つがここ定専坊に残っています。

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これが楠木正勝公のお墓、
3つの五輪の塔は正勝公とその子正盛・盛信の墓とのこと。
正勝公が本当にこの地で亡くなったかどうかは分かりませんが
初代定専坊住職は正勝の孫、掃部助(かもんのすけ・僧名浄賢)
とのことなので楠木家と深い繋がりがあるのは確かです。

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全国に5ヶ所ある墓のうち、
2ヶ所は私の住む茨城県にあるということもあって
深いご縁を感じてしまう楠木正勝公。
墓前にて「虚鈴」を献奏させていただきました。

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そしてもう一ヶ所。
こちらは大阪市北区天満にあるもう一つの「定専坊」。
江戸期に市内中心部の出張所として開かれ
こちらが本坊の時代もあったようですが
今は別々の寺院として繋がりはないとのこと。
ただこちらは楠木家のご子孫がご住職とのこと。
正勝公の墓が残る定専坊とご子孫がいらっしゃる定専坊、
尺八吹きにとってはどちらも聖地です(笑)。

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前島竹堂先生ご訪問から始まった今回の旅、
たくさんの尺八史跡を巡ることもでき充実した旅となりました。
前島先生と飛田様はじめ
今回の旅でお世話になった皆様に感謝致します!

 

前島竹堂先生をご訪問in大阪

2014年2月6日(木)

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今回は大阪の前島竹堂先生とご門下の飛田氏を
前川耕月先生、同門の法純氏と共にお訪ねしました。
前島先生は谷北無竹師、桜井無笛師などに師事された
古典尺八界の生の歴史を知るまさに生き字引的なお方です。
文献でしか読んだことのない先人のお名前が
先生のお話の中にたくさん出てきて感動しました!

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先生が所有される貴重な尺八を拝見させていただきました。
古鏡、初到、勝浦正山、竹翁、三世古童、竹隠、桜井無笛など
こちらも歴史的名管がずらり。
時の流れを感じさせる竹の色、
尺八吹き達がその生命を注ぎ込んだ証拠である
竹に残った手跡を見ているだけで静かな感動が湧き起こります。

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夜には大阪の夜景が素晴らしい箕面の宿にて会食。
先生と盃を交わさせていただけたことは一生の思い出となりました。

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貴重なお話をおうかがいしたり、
たくさんの名管を拝見させていただいたり、
素晴らしい夜景や食事を楽しませていただいたり、
今回は何から何までお世話になってしまい
本当にどうもありがとうございました!

次回は大阪の旅で訪れた尺八史跡のお話をさせていただきます。