竹掘り(2)~根周りの処理

2013年1月31日(木)

2013013101

今回は先日掘ってきた竹の根周り処理作業の話でも。
掘ってきた竹は日光や雨の当たらない軒下で数週間放置します。
根っこ部分の土砂を乾かして除去しやすくするためです。

2013013102

作業に使用する道具一式。

2013013103

根っこ部分に土砂や小石が含まれているため
ノコギリではすぐに刃が切れなくなってしまいます。
そのためディスクグラインダーを使用して根っこを切っていきます。

2013013104

こんな大きな石がめり込んでいたりします。
(良い竹材は痩せた土地、岩盤質や小砂利を含んだ土地に多いので
仕方ありません。)

2013013105

根っこの間に詰まった土砂や小石を金属の棒で除去していきます。

2013013106

要らない部分をノコギリで切り落として、切り口に採取年、
採取場所、製作可能な尺八の寸法をマジックで記入しておきます。

2013013107

10本処理するのに約半日の作業。
結構面倒な作業ですが、竹材の全貌があらわになる瞬間なので
美しい竹材をゲット出来た時の喜びはひとしおです。
(逆にあらぬ方向に根っこが曲がっていて、どうやっても
格好の良い尺八を作りようがない竹もままあります。)

この後は「油抜き」という作業に続きます。

 

ホゾ竹作り

2013年1月17日

2013011704

先日、1/14は関東全域で大雪となりましたが
茨城もご覧の通り、一日で10cm以上積もったでしょうか。
まるで雪国のような景色に、思わずパチリ。
(さすがに雪だるまを作りたいとは思わない年齢に
 なってしまいました(笑)。)

2013011701

さて今日は尺八の上・下管を繋ぐ部分に使用する
「ホゾ竹」の製作をご紹介します。
竹掘り時に一緒に採取した竹材を数年間寝かせてから使用します。

2013011702

小型旋盤を使用して製作します。
金属の爪で竹を挟んで固定するのですが、
回転の中心と竹の中心を一致させるように固定するのが
ちょっと難しいところです。

あとは少しずつ削っていき目的の大きさにします。
一つ作るのに約10分くらい。

2013011703

今日の成果です。
外径25.5mmから27.0mmまで0.5mm刻みで計30個。

市販品も使用していますが、
自作すると思い通りのサイズで作れるので便利です。

(旋盤代にまとまった投資をしているのでたくさん作らないと
 元が取れません(笑)。もうそろそろ元が取れたかな?)

 

謹賀新年!~尺八の下作り~

2013年1月5日

新年明けましておめでとうございます!
今年もよろしくお願い致します!

今回の年末年始は全くお正月気分を味わうことなく
普段通りに仕事をしていたのですが、
正月中にしていた尺八の下作り作業を
新年のご挨拶がてら紹介させていただきます。

2013010501

今回は琴古流の1尺6寸管を作ります。
あらかじめ矯め直し作業を行って節の曲がりを矯正した竹材。

2013010502

上管・下管に切断し、ベルトグラインダーで大まかな整形を行う。

2013010503

歌口入れの作業。
小刀で歌口の形をくり抜き、歌口材(水牛の角など)を嵌め込む。
隙間無く、美しく仕上げるのには技術が必要です。

2013010504

琴古流の歌口を入れ終わったところ。
都山流・明暗流など尺八の流派によって歌口の形が違います。
(デザインの違いだけで尺八の性能には関係ありません。)

2013010505

上管・下管の長さを仕上がり寸法に整え
繋ぎ部分の割れ防止のために糸巻きを施します。

2013010506

繋ぎ部分の作業。
ホゾ竹に合わせて上管・下管を彫り込み、下管側に接着します。

2013010507

ドリルで手孔を開ける。

2013010508

下作り完了!
ただの竹材が尺八の形になる瞬間は嬉しいものです。

でも完成まではまだまだ遠い道のり。
この後、肝心の内部を作る作業が始まります。
内部の形状は尺八の音色や性能を決める重要な部分。
砥の粉を塗ったり削ったり、
漆を塗ったりという工程がいくつもあり
それぞれに乾かす時間も必要なので
完成までにはこれからまだ数ヶ月かかります。

続きはまたそのうち。
今年もよろしくお願い致します!